プライド消滅後に立ち上がった総合格闘技イベント「戦極」
メンバーをみると全体的にちょっと厳しい感じも否めないが、総合を盛り上げてくれるイベントに成長してくれることを期待しながらの旗揚げ戦観戦。
ファブリシオ・“ピットブル”・モンテイロ vs ニック・トンプソン
川村 亮 vs アントニオ・ブラガ・ネト
瀧本 誠 vs エヴァンゲリスタ・サイボーグ
藤田 和之 vs ピーター・グラハム
三崎 和雄 vs シアー・バハドゥルザダ
五味 隆典 vs ドゥエイン・ラドウィック
吉田 秀彦 vs ジョシュ・バーネット
以上7試合。
面白かったのはメインだけ。(T_T)
あとは肩書きはあるけどレベル的にどうなの?という選手や久しぶりで勘が戻らない選手ばかり。
メインがなかったら失敗の大会といっても良いのではないだろうか?
瀧本は打撃の選手にアキレスを極められてしまう失態。
足関節は極め方・極められ方を知っていないと防げない。
アキレス腱やヒールなども極まるその瞬間まで痛みはないのでついついノンビリと持たせてしまうが、それではいけないのだ。
おそらく練習でも足関節を取り合ったりしないのだろう。
見ていて危ないぞと思う段階でも、痛みが無いので逃げるよりも先に、自分の目の前にある相手の足を極め返してやろうとしてしまう。
結果、足関節の上手い方が落ち着いてじっくりと極めるチャンスとなってしまうのだ。
足関節が柔道にはないとはいえ、総合のデビュー戦というわけでは無いのだからもう少し対応してしかるべきだった。
藤田は勝って当たり前の試合だったし、三崎も打撃の下手さ加減が路程。
相手がそれほど強い選手ではなかったのでなんとか勝てたが、三崎強し!!という印象は残らなかった。
五味は久しぶりの試合で勘が鈍っていた。
パンチがあたり相手が尻餅を付いたとき、以前の五味ならすぐにたたみかけただろう。
しかし、ダウンの瞬間、両手を広げてポーズ・・・タイミングが遅れてしとめきれず(´ヘ`;)ハァ
あそこでいけていればもっとスッキリとした試合になっただろう。
そしてメイン。
総合格闘技という観点からすれば凡戦だし、純粋な総合ファンは「何を遊んでいるんだ!!」とイライラした試合だろう。
実力的にはジョシュの方がかなり上。
ジョシュが結果だけにこだわって試合をしていたら1R早々にでも決着できた試合だ。
しかし、ジョシュは違った!
この試合、ジョシュにとって大事だったのは勝つことよりも柔道家の吉田をキャッチレスリングの自分がスープレックスで投げること!!
対する吉田も練習してきた打撃を当てることを主目的にしていた。
お互いの勝負だけにこだわらない姿勢が噛み合い試合がスイング!
打撃で一瞬押す吉田、組合った瞬間に見事なバックドロップを決めたジョシュ!
ここですっかり引き込まれた。
寝技でも殺気立った打撃の撃ち合いにはならず、お互いに 「何か」 をねらってやろうという表情。
その後もスープレックスをねらうジョシュ、柔道家のプライドで投げかえそうとするも投げきれない吉田。
単純に相手を倒すということよりもお互いが 「技を出す」「見せ場を作る」 という意識が見えてくる。
吉田にはそこまでの余裕は無かったかもしれないが、ジョシュは明らかに「勝てば良い」という姿勢ではなく「格好良く極めてやる」という気持ちだったことは確かだろう。
その結果、「技の攻防」が生まれ、見ていてワクワクする試合となった。
「勝てばいい」というアマチュア精神の選手が大半をしめる総合格闘技のなかで、ジョシュ・バーネットという選手は「魅せる」ということを意識している数少ない選手の一人だ。
柔術や総合の売名に散々利用されてきたプロレスの、カールゴッチやUWFというものにあこがれた私達の世代の溜飲を下げてくれるのがジョシュ・バーネットだ。
試合は残り2分までスープレックスを狙っていたが、最後はヒールホールドできっちりしとめて名試合を完結させた。
今の若いファンはどう感じたかわからないが、私に近い世代のファンは非常に楽しめた試合だったのではないだろうか?
メインがなければ損した気分になった大会だが、メインだけでもPPV分は楽しませてもらった